「お客様の中にお医者様はいませんでしょうか!」
ドラマではよく見るシーンですが、初めて本物に遭遇しました。
6月25日(水)大分発成田行き、ジェットスターGK604便。
定刻通り19時05分に大分空港を出発。成田までは1時間40分の短い空の旅、のはずだったのですが、飛び立って30分が過ぎた頃でしょうか。CAから「お医者様はいませんでしょうか!」のアナウンス。騒然とする機内ですが、あいにく誰も名乗り出ず。そこで2回めのアナウンス「お客様の中にお医者様、看護師、または医療関係に従事している方はいませんでしょうか?CAのお手伝いを願います!」と範囲を拡大、切羽詰まった声が響きました。
大きな酸素ボンベを持って走るCA、後部座席のお客様らしく、ボクの位置からは何が起きているのか確認できませんでしたが、とにかくただならぬ雰囲気だけは伝わってきました。
少しして機長から「急病人のため、当機は中部国際空港へ緊急着陸いたします」とアナウンス。一瞬「マジかよ!」と思いましたが、先ほどからのドタバタを見ている他のお客さんもボクも「コレは仕方ない」「とにかくあの人を病院へ」という気持ちになっています。緊急着陸とか人生初や。
改めてCAから事情説明のアナウンス。日本語の後、英語での説明が終わったところで、「クレイジー!」と大きな声を上げる外国人の方が登場。なんとボクの隣の席。
彼は成田トランジットで中東まで行かねばならず、乗り換えは22時15分。名古屋に寄ってはとても間に合わない時刻。軽くパニックになっているその方に、CAが個別説明。それでも興奮収まらない男性。その様子を見かねてか、1つ後ろの席の女性が英語で説得に参戦。気がつけば口論になり飛び交うイングリッシュ。
ひとまずCAが乗り換え先の航空会社に掛けあって、事情説明をすることに。そうしている間にも飛行機は着陸態勢に入って病人もいて、ジェットスターは乗務員も少ないからもうてんやわんや。
これはヤバイなー。どうなるかなー。というところで今度は、ボクの左側の50代の男性が流暢な英語で真ん中の席のボクをスルーして窓側の外国人の方に事情説明を突然開始!
ちょww今までずっと黙ってたけど英語できたの?
でもその説明が良かったらしく、ようやく納得する外国人の方。CAさんは病人対応に専念できることに。すげえぞビジネスマン!
よくよく聞けば左側の男性も後ろの女性もとても親切で、成田に着いたら、JALと中東の航空会社への説明と便の変更の交渉を男性が手伝い、後ろの女性は家が成田に近いので、今日は泊まって行きなさい、もしくは安いコンドミニアムを探してあげるわ、となっていた。日本人素敵。
さっきの口論なんだったんだ。(英語だったから内容わからんかった)
そうこうしているうちに中部国際空港に着陸。前方のドアがバチコーンって開いて、救急隊員が雪崩れ込んでくる。うお、ドラマや。後部座席から酸素マスクをした男性が車いすで運ばれていきました。しばらくして、「先程のお客様は無事に病院へ搬送されていきました」とアナウンス。機内拍手。映画で見たことあるコレ。
とりあえず無事でよかった。さあ次は自分たちが成田に帰れるのかどうか。
中部国際空港に着陸したのが夜8時30分。あれ、成田に向かっても45分着だったじゃん。とうっすら思っていたところに再び機長アナウンス。「現在成田空港には積乱雲が発生しています。そのため、長時間旋回することも考えられますので、燃料補給が必要です」
な、なるほど、成田に向かって、万が一降りられなかった時に病人の命がヤバイと判断していたのか!すげえな機長。
「燃料補給はお客様が乗った状態ではできないと航空法に定められております。大変お手数ですが、一度降りていただきます」と続く。
マジか、1回降りるのか。
荷物を持って、飛行機の横にやってきたリムジンバスに乗り移り待機。この時「緊急事態ですので、携帯などお使いいただいて結構です」と許可が降りたのでバスから撮影。給油しとるわー。
20分ほどで燃料補給が完了し、再び成田へ向かって飛び立つ。時刻は21時50分。そこでなぜか再び救命胴衣の使い方を説明し始めるCA。え?さっき聞いたよ?
「一度飛行機から降りられてしまったので、再度乗った際に説明するように航空法に定められております。もう一度お聞きください」へー。そうなんだー。今日は2つ賢くなりました。航空法って大変ね。
運良く天候は回復しており、成田に降りたのが22時45分。やばい。東京に帰る交通手段あるのか!?
京成はもう終電過ぎていて、JRの最終総武快速線、23時02分発に何とか滑りこむ。これ、東京まで1時間半もかかるやつだ…。23時05分発の高速バスが正解だった…。
上野駅に着いたのが24時50分。はー。やっと帰れる。
しかし、人の命を預かる仕事ってのは大変ですね。機長は多分、中部に降りても何とか成田で終電にはお客さんが間に合う&積乱雲で降りれないリスクと患者さんの様態を総合判断して緊急着陸したんでしょう。
隣の外国人の方のトランジットは大変だったと思いますが、降りるという判断をして、管制塔に連絡して滑走路開けさせて降りて、燃料車をスタンバらせて待機用のバスを走らせて、成田にも連絡して時間変更して、それを沢山の人が動いて間に合わせる。で、現場の乗務員は「大幅に遅れて申し訳ありません」って謝り続ける。
イレギュラーに対応してのプロでしょうが、人を一人助けるのにどれだけの人が瞬間的に動いたかと思うと、すごいなあと感激。片道4000円で乗って申し訳ない気持ちになりましたw
飛行機が次に遅れた時のために、成田空港から帰れる最終交通手段まとめを作ろうっと。
※追記 飛行機の動きに気がついていた人がいた!
ジェットスターの604便、大分→成田に行くはずが何か気が変わったようだ。 http://t.co/vDfzKkakcQ
上空待機を敬遠してセントレア?給油して再出発しても成田の門限には間に合わないような気が…
もうセントレアを出発してた。これなら間に合うか。 http://t.co/vDfzKkakcQ