弊社先輩の谷口マサト氏からご献本頂きました。
livedoorに入社して半年ほどたったある日、「田野さん、動画得意だって聞いたんですけれども、CM作れますか?」と声をかけていただいたのが谷口さんとの出会いでした。ロケ車にカメラマンさんなどを手配して、向かったのは空手道場。
「第一回威格闘技」の撮影に参加してきた : ユーモア妄想メディア「ワラパッパ」
何が驚いたって、中身のぶっ飛び方もそうですが、このCMの内容で、スポンサーの首を縦にふらせてきたってのがすごい。ガンマイクを構えながら「この人どうかしている」と思ったのが昨日のことのようです。
その後も、数々の珍名企画を世に送り出し、今では「谷口マサト企画」というブランドとなり、ついにこうやって本にまでなりました。
まず、谷口さんのプロフィールが普通じゃない。
1972年滋賀県生まれ。横浜国立大学の建築学科を卒業後。建築業界には進まず、空手修行のため渡米、主にヌンチャクを学ぶ。空手のテキサス州大会と柔術の大会で優勝した後、帰国するもヌンチャクでは食べていけず、96年にいち早くネット業界に入る。
ボクは12歳から中国拳法を始め、ヌンチャクも血豆を潰すほど練習してきましたが、アメリカに武者修行へ行ってる人がオフィスにいたとは。まさかヌンチャクが自分より上手な人が社内にいるとは思いませんでした。
世の中ってすごいですね。右のは携帯用のミニヌンチャクだよ。女性にオススメ。
ヌンチャクはさておき、本の話をしましょう。そんな谷口さんの本、表紙はだいぶ面白いですが、中身は超理論的なマーケティング入門書&コンテンツ作りのノウハウ本です。
谷口さんはインパクトのある写真をベースにコンテンツを組み立てることを「フォト紙芝居」と読んでいます。代表作「虎ガラのオバチャンとデート」も相当な写真のインパクト。
大阪の虎ガラのオバチャンと227分デートしてみた! – ライブドアニュース
私はスマホで読まれることを意識した、写真とテキストだけで構成するコンパクトなコンテンツを「フォト紙芝居」と呼んで、多く制作してきました。
コンテンツを作る時に最も力を入れるのが、最初に表示する「表紙絵」です。
なによりも「構図にインパクト」があり、かつ「どこかで違和感がある」写真になるよう心がけています。
私が写真をはじめとしたビジュアルの構図を考える際に「違和感」を重視するのは、それによりインパクトが生まれるからです。そして「インパクトがある」とは、いかに「記憶に残るか」であると考えています。
同じような話を最近聞いたなー、なんだったっけなー。と思ったらそう、カリスマブロガーnarumi氏の講演でした。
「本当に文字って必要ですか?」メディア出身の人気ブロガーが語る「今の時代に読ませる」ための全て #ブロフェス2014 | エアロプレイン
(肉の)うまさを伝えるのに文字を書いてもしょうがない。写真とVineしか使ってない。テキストない。写真写真Vine写真のほうがよっぽど伝わったりする。それがブログ。「読ませるな、見せろ」と言いたい。なるべく見せてわからせたほうが。特にスマホだし
スマホ時代の今、インパクトのある写真がいかに大事か、ということがわかります。谷口さんはいかに面白い広告を作るか、というより、いかに広告主のお金で遊んでみせるかというアーティストだと思っていたので、この本の理路整然ぶりは必読です。ガチ理系だったんですね。
インパクトと違和感のある写真って、どうやったら撮影できるんだろう。難しいなあ。
とあるブロガーに密着したら常にブログ書いてて気持ち悪かった : たのっちのぶろぐ by @tanocchi
谷口さんは日々、妄想の中からアイデアを生み出してるそうです。
日常の中では、アイデアを作る機会よりも、何かを記憶しなければいけない機会の方が多いと思います。日ごろから記憶術を使う習慣を身に付ければ、結果としてアイデアを出す力もついていくと思います。
さらには記憶する必要がなくても、目の前に広がる光景の中で、最もふさわしくないモノを登場させる妄想を楽しむようになれば、アイデアを日々の生活の中でストックできるようになると思います。ホドホドにしないと病気になってしまうかもしれませんが…。
病気にならない程度にボクも頑張ろうっと。
ネットメディア関係者、ならびにブロガーの方はとっても勉強になる1冊です。