いつの間にか6月。新入社員も3ヶ月目に入り、教育係のあなたを「この人社内で暇だからメンター(教育係)押し付けられてるんだ」と気がつき出す頃です。
最近の若い者は優秀でこまりますね。
そんな時はもう理論武装しかありません。ボクの尊敬する「雇用のカリスマ」海老原嗣生さんの新書「無理・無意味から職場を救うマネジメントの基礎理論 18人の巨匠に学ぶ組織がイキイキする上下関係のつくり方」を読みましょう!
プレジデント社
「そもそもマネジメントってのはさぁ…」
と、ドヤ顔で語る新橋リーマンは沢山いますが、「人事部長はマズローの影響受けてるから、研修はそんな感じなんだよ」とか、「結局さ、機会、支援、評価、承認、報酬のモチベーションサイクルなわけじゃん?基本はハーズバーグなんだよね」
なんて、意識高くアメリカの心理学者の名前が出てきたら、新入社員もNewsPicksに「ボクのメンターがこの記事と同じ事言っていました。ともに成長したいです」ってコメントせざるをえなくなってしまいますよね。
この本にはマネジメント理論の巨匠18人の根幹が記されています。見てくださいこのメンツ。
アブラハム・マズロー
フレデリック・ハーズバーグ
リチャード・ハックマン
グレッグ・オールダム
エドウィン・ロック
松井賚夫
大沢武志
W・G・オオウチ
ダグラス・マクレガー
三隅二不二
フレッド・フィドラー
ヘンリー・マレー
スティーブン・コヴィー
エルトン・メイヨー
フリッツ・レスリスバーガー
マイケル・ポーター
ゲイリー・ハメル
C・K・プラハラード
名前を出すだけでドヤれること間違いなし!
この巨匠たちの理論を、海老原さんがわかりやすーく解説してくれています。ここが海老原さんのスゴイところ。難しいことをボクでもわかるように書くって、さすがだなあ…。
それでは中身に入ります。
後輩ができたらぜひ、課長を目指すなら絶対おさえておきたいマネジメントの基礎理論
正直ボクは殴る蹴る怒鳴るのマネジメントしか20代で経験していないので、「人を育てる」ということを体感したことがありません。
ADには人権がないため、毎日課長に「死ね」って言われていました。比喩ではなく。そんな上司も先日役員になられたそうですおめでとうございます。
転職した会社でも出社したら部署全部のPCモニターに上司からマジックで罵詈雑言が書かれてたこともあったなあ。そんなんでニコニコする動画が作れるかっての。おっと誰か来たようだ。
話を戻しましょう。
これは大手企業の人事向け研修の内容を元に書かれた本だそうで、あぁ、ちゃんとした日本企業ってこうやって人を育てるんだー。としみじみ勉強になりました。
どうやって部下にやる気を出させ、どのように鍛え、指示を出したらいいのか
「やる気」って、そもそもないですよね。
やる気がないというか、基本「いかにサボるか」を考えるのが人間というものです。
そこを報酬で尻を叩いたり、出世のニンジンをぶら下げたり、仲間を作ったり競い合わせたりして、部下のやる気スイッチを連打しまくる。「やる気元気いわき」の基礎理論です。
本にはこんなクイズが出てきます。
「昇進などしたくない」「できれば楽な仕事」「安定的に長く働きたい」という安全志向の若者が多すぎる!どうしたら、こうした部下を育てられるでしょうか?
管理職って、大変ですよね。僕もダメ社員なので、編集長には足を向けて寝られません。
上司「大きな仕事をしたい、影響力をもちたい、多くの人を動かしたい。そうだろ、おまえもそうなりたいだろ!」
新人「………(うぜえ)」
2ちゃんでよく見かけるやつです。
これを解決するために出てくるのが「マレーの心理発生的要求リスト」。人のモチベーションを28種類に分類した体系図です。これは大学で習った気がする。
◇A. おもに生きていない対象と結びついた要求
1.獲得(acquisition)所有物と財産を得ようとする要求
2.保存(conservation)いろいろなものを集めたり、修理したり、手入れしたり、保管したりする要求
3.秩序整然(orderliness)ものを整頓し、組織立て、片づけ、整然とさせ、きちんとする要求
4.保持(retention)ものを所有し続け、それを貯蔵する要求; かつ質素で、経済的で、けちけちとする要求
5.構成(construction)組織化し、築き上げる要求
◇B. 大望、意志権力、成就欲、および威光に関係する要求
6.優越(superiority)優位に立とうとする要求、達成と承認の複合
7.達成(achievement)障害に打ち勝ち、力を行使し、できるだけうまく、かつ速やかに困難なことを成し遂げようと努力する要求
8.承認(recognition)賞賛を博し、推薦されたいという要求; 尊敬を求める要求
9.顕示(exhibition)自己演出の要求; 他人を興奮させ、楽しませ、扇動し、ショックを与え、はらはらさせようという要求
10.不可侵性(inviolacy)侵されることなく、自尊心を失わないようにし、”よい評判”を維持しようとする要求
11.劣等感の回避(avoidance of inferiority)失敗、恥辱、不面目、嘲笑を避けようとする要求
12.防衛(defensiveness)非難または軽視に対して自己を防衛しようとする要求; 自己の行為を正当化しようとする要求
13.中和(counteraction)ふたたび努力し、報復することによって敗北を克服しようとする要求
◇C. 人間の力を発揮し、それに抵抗し、あるいはそれに屈服することに関係のある要求
14.支配(dominance)他人に影響を与え、あるいは統制しようとする要求
15.恭順(deference)優越者を賞賛し、進んで追随し、喜んで仕えようとする要求
16.模倣(similance)他人を模倣、またはまねようとする要求; 他人に同意し、信じようとする要求
17.自律(autonomy)影響に抵抗し、独立しようとする要求
18.反動(contrariness)他人と異なった行動をし、独自的であろうとし、反対の側に立とうとする要求
◇D. 他人または自己に障害を与えることに関係する要求
19.攻撃(aggression)他人を攻撃したり、または傷つけたりしようとする要求; 人を軽視し、害を与え、あるいは悪意をもって嘲笑しようとする要求
20.服従(abasement)罪を承服甘受しようとする要求; 自己卑下
21.非難の回避(avoidance of blame)しきたりに反する衝動を抑えることによって非難、追放または処罰を避けようとする要求; 行儀よく振舞い、法に従おうとする要求
◇E. 人間間の愛情に関する要求
22.親和(sffiliation)友情と絆をつくる要求
23.拒絶(rejection)他人を差別し、鼻であしらい、無視し、排斥しようとする要求
24.養護(nurturance)他人を養い、助け、または保護しようとする要求
25.求援(succorance)援助、保護または同情を求めようとし、依存的であろうとする要求
◇F. その他、社会的に関連した要求
26.遊戯(play)緊張を和らげ、自分で楽しみ、気晴らしと娯楽を求める要求
27.求知(cognizance)探索し、質問し、好奇心を満足させる要求
28.解明(exposition)指摘し、例証しようとする要求; 情報を与え、説明し、解釈し、講釈しようとする要求
マレーの心理発生的要求リスト(Murray, H.A., 1938)
クイズの正解は、
上司のアナタと部下の「やる気スイッチ」は違う。人間が「もっとやりたい」と思う28の種類のパターンを見比べてみよう。出世したいと思わない人でも、その人なりの認められたい分野はある。
だれでも28個の動因のどれか1つは持っているので、28の動因にそって、部下がどの動因に響くかを考え、機会を与えることが大切。
上司は「自分の考えを押し付ける」のではなく、「部下の気持ちになって」考えよう。
でした。
うーん。いい上司すぎる。
この28のリストを見ながら、部下のやる気スイッチを探してみよう!
どのように鍛えればいいのか→クリアできるギリギリを与え続ける
ドラゴンボールを思い出してみましょう。悟空やベジータなどのサイヤ人は、死の淵から蘇ると戦闘力がアップします。
これは筋トレで一度筋繊維を切って再生するときに成長するあれですね。
ボッコボコにされて、もうだめだ死ぬってときに仙豆やらメディカルマシンやらを使って超回復すると、歯がたたなかった相手に勝てるようになる。ナメック星でよく見たやつです。
我々サラリーマンも同じ。
ギリギリこなせる仕事を与え続けられることによって、鍛えられていくというメソッドをエドウィン・ロックが導き出しました。
鳥山明じゃなかったんだ。
もちろん死なないように進捗状況などをケアしてあげなければなりません。
できるかできないかギリギリの線で逃げ場をなくしつつも、得意な分野で実力を発揮できる仕事を与えるのがマネジメント。
難しい!
こまめなフィールドバックと、フレキシブルな目標変更が大切とのこと。
どのように指示を出したらいいのか
さあ、目標設定は課長がやるとして、現場の僕らが一番悩むのがコレです。
どのように指示を出したらいいのか。
マネジメントの「マ」の字も知らないまま新人ADを育てていたころ、いいからやっとけ、できろ、やれろ、死ね。って指示してたね。ゴメンね、長神に加川。
マネジメントの根幹とは「2つのW:What(なにを)・Way(どうやって)」と「2つのR:Reason(なぜ)とRange(どの範囲内で)」だそうです。
帯にもなっている指示の出し方の例。
ケチャップは均一に塗りなさい(What)。そのためには、ケチャップをミートの真ん中に落とすといいですよ(Way)。
この2つのWが基本で、仕事に慣れてきて、2Wが身についたら「そうすればどこから食べても同じ味になるはずです(Reason)」という理由を教えるそう。
そうすると指示が「覚えること」から「考える」ことに変わる。
これが部下が工夫を始める入り口とのこと。
ボクの仕事で言うと、「×××」っていう単語は放送禁止用語だから使っちゃダメだよ。「☆☆☆」って言い変えなさい。って最初に習います。でも、なぜ「×××」って単語が放送に適さないのか、それは研修を受けるまでわかりません。
それは差別の意味を含んでいたり、宗教的背景があったり、過去に特定団体からクレームがあったからトラブル処理面倒で避けたり、理由は様々です。
まずは絶対にその言葉を放送で使わない。そして、使ってはいけない理由を学んで、自分の放送により傷つく人がいるんだな、電波って責任あるんだなってことを学びます。
研修を受けたの、だいぶ大人になってからでしたけどね…。
そしてこの本は最後に
「課長たちよ!マネジメントの王国を築け!」というパートで終わります。海老原さん曰く、
とりわけ、課長というポジションは、意外なほどに自由度が高いのです。なぜなら、会社組織の最小ユニットが「課」であり、それより小さな単位はないからです。
経営から見ると、「何でもやろうと思えばできるのに、何もやらない課長が多すぎる!」という思いがかなりあります。そうした思いを知ってか知らずか仕事のできる課長は、自由を利用して、せっせと「王国の発展」に汗を流しています。そんな努力をしている課長は、おのずと注目されます。
この本は読むだけで終わらせず、ぜひ自分流の「マネジメントの王国」を設立してほしいと思います。それは将来あなたが役員や社長になって、社を動かせるようになったときのための予行演習になるでしょう。もちろん、起業を考えている方には言わずもがな、でしょう。
とのことです。
ボクは間違いなく一生ヒラコースなので、アナタがこの本を読んで、我々凡人をマネジメントしてくれる日を待ち望んでおります。
さーて、新入社員でも説教してくるかな。
プレジデント社
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