天下の電通で新入社員が過労死するという痛ましい事件が起きました。
◇24歳東大卒女性社員が過労死 電通勤務「1日2時間しか寝れない」クリスマスに投身自殺 労基署が認定
最長月130時間の残業などで元電通社員の高橋まつりさん=当時(24)=が自殺し、三田労働基準監督署(東京)が過労死として認定していたことを7日、遺族側弁護士が会見で明らかにした。
高橋さんが友人や母親に送信したツイッターなどでは、1日2時間睡眠が続いたことなどを訴えた上で、「これが続くなら死にたいな」「死んだほうがよっぽど幸福」と記していた。ー産経新聞
週刊朝日UST劇場アシスタントだった高橋まつりさんがお亡くなりになっていたことをニュースで知る。当時、彼女は19歳。一度だけ共演させていただいたのだけど、聡明な子だった。労災が認定されたのが、せめてもの救いだけど、命は戻ってこない。親御さんは無念でならないと思う。ご冥福を祈りたい
さらに、過労死というよりパワハラなんじゃね?という上司からの叱責も。
自動車火災保険やFX証券を担当し、本採用となった同10月以降、労使協定で定めた上限の70時間を大幅に超える残業が続いていた。上司からは「君の残業時間の20時間は会社にとって無駄」「目が充血したまま出勤するな」などと叱責されていたという。
今年4月に遺族が労災を申請し、認められた。労基署の説明では、高橋さんは昨年11月上旬にはうつ病を発症しており、発症前1カ月の残業時間は入退館記録などから約105時間と認定されたという。ー時事通信
そんな天下の電通には、元社長の吉田秀雄氏が遺した「鬼十則」という行動規範があります。
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- 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
- 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
- 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
- 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
- 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
- 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
- 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
- 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
- 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
- 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
昭和26年(1951年)に制定されたもので、21世紀の今、上場企業でもある天下の電通で、「殺されても放すな」なんてことが引き継がれてるとは到底思えませんが、どこかにこういう社風が残ってしまっていたのでしょうか。
電通では1991年にも新入社員が過労死。両親は損害賠償を求め裁判となり、最高裁までもつれ込んだ末に会社が約1億6,800万円を支払うとの内容で和解となっています。詳しくは厚生労働省のページでどうぞ。
・[事例1-1] 長時間労働の結果うつ病にかかり自殺したケースの裁判事例(電通事件)
今回も電通は
電通の話 社員の自殺については厳粛に受け止めている。労災認定については内容を把握していないのでコメントは差し控える。ー時事通信
と、あまり反省していない様子。
「労災認定については、内容を把握しておりません」って……(-_-;) →自殺の電通新入社員 長時間労働が原因と労災認定 | NHKニュース https://t.co/O7A6BwRp67
「早死にする職業ランキング」で1位にも選ばれた「大手広告代理店の営業」。深夜に「クリエイティブの修正お願いします」「確認お願いします」なんてメールはバンバン飛んでくるし、基本クライアントと媒体社に挟まれて調整、調整、また調整のしんどいお仕事です。
コネ入社がくっそ多い業界としても知られていますが、スポンサーのお嬢様お坊ちゃまが、わざわざこんな戦場に来なくても…と、上流階級を不思議に眺めていたものです。
タレントが不祥事を起こしてCM放送見合わせ、なんてのを見かけるたびに「ああ…またどこかの代理店社員が家に帰れないんだな」「関係者の皆様に多大なる迷惑」ってこれか、と思ってください。
少ない人数でたくさん残業するから給料もくっそ高いわけで、さらにクリエイティブのお仕事はまあ楽しいし、自分の作った広告が世の中に出たりクライアントの売上を左右したり、「世の中を動かしてる」なんて感じるのも仕方ないんですが、人はやっぱり壊れるんですよ。
ラジオ時代も毎年どこかで鬱病の子でてましたから。激務の営業局か制作部が多いんですよね。「死ね」とかデフォルトで毎日言われますから。懐かしい。
ということで、これから広告業界や放送業界を目指す方、また来年の内定者のみなさん。
くれぐれも身体を大切に。