クラウドファンドの胴元が「ストーリーの強度が非常に重要」とか言っちゃダメな件

ギョーカイ話
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J-WAVEが頑張っているクラウドファンディング企画、J-CROWDがオリコンさんに取り上げられています。

クラウドファンディングを活用したラジオ局の試み ニュース-ORICON STYLE-

「まずは音楽のクオリティが大前提となりますが、やはりただCDをつくりたい、というだけではプロジェクトとして成立させるのは難しい。提供するのは、自分が応援することで物語が動いていく体験です。ユーザーを主体的に参加させるための動機付けとなる“ストーリー”の強度が非常に重要となりますから、公開する企画は入念に審査しています」-J-WAVE 編成局デジタルコンテンツ開発部長・小向国靖氏

とっても正直な人なんだと思います。「CD作りたいけどお金ないからみんなで出して!」っていうクラウドファウンディングが中心のJ-CROWD。聞く前のCDにお金出すんだから、そりゃ何よりストーリーが大切でしょう。でも、ここのところ、佐村河内守氏と小保方さん問題で、この「ストーリー消費社会」が槍玉に挙がっているんですよね。タイミング悪いよ…。


「佐村河内氏・小保方さん問題」があぶり出した ストーリー消費社会の現実――ジャーナリスト 曲沼美恵|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン

「物語」は商品の価値を上げる。これは経済社会の常識だ。広告やエンターテインメントの世界では、マジードのようなテクニックは「モノ」だけではなく、「人間」を売り込むためにも使われる。そして、私たちはそのストーリーをたいてい、「うさん臭いものだ」と感じている。(マジードとはモロッコの商人)

コンテンツ消費の本質は背景の肩書きやストーリー消費なのか否か-Film Goes With Net

クラウドファンドというものがあります。映画や音楽、ガジェットから人助けまで様々な理由で資金を求める人が、支援を募るシステムですが、あれなどは物語消費の最たるものかもしれません。

大人たちはストーリーを売り込むことに躍起です。

ストーリーマーケティングを実践したい理由としては、購買に対する心理的なハードルを下げること、また、消費者のファン化・営業マン化に貢献することがある。購買によって自分が共感する“ストーリー”とつながることができ、更にSNSや口コミで広めることによって伝道師となることができる誇らしさが価値になる。-心に訴え、消費を促す~ストーリーマーケティング~三菱UFJリサーチ&コンサルティング

ぼくもディレクター時代、企画はストーリーが大切だと教わりました。リスナーのメールをきっかけにコーナーができて、それが盛り上がってスペシャルに発展させる、それが理想だと。番組のCDや本を出すときもそうですよね。「みなさんの熱い要望にお応えして!」って言って。大半はメーカーと放送局の「みなさん」の要望なんですけど。

具体例は挙げられませんが、ストーリーの裏側には「やらせ」がたっっっっくさんあるんです。みんな「ストーリー作り」のプロですから。あ、J-WAVEさんがそうだって言うんじゃないですよ。ぼくが今までそういう事をたくさんやってきたってだけです。クラウドファウンディングでは一般の方からお金を集めるわけで、ウソとか許されないでしょうから。

ただ、そういうことがバレる時代、ちょっとしたヤラセでも糾弾される時代になってきたんです。川口浩探検隊とか、もう許されないんだろうな…。ヒッチハイクの旅で飛行機使ってたやつとかも…。

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僕たちは佐村河内・小保方騒動から「演出はブーメラン」ということを学びました。先輩ディレクターの名言に「ヤラセじゃねえ、演出だ」というのがありましたが、かなり慎重にやらないと今後は大変なことになります。そして、先ほど引用した中小企業向けのマーケティング資料にあるように、ソーシャルメディアなどを使ったストーリーの押し売りはますます増えるでしょう。
[熊坂仁美]<小保方晴子と佐村河内守の共通点>“ストーリーづくり・キャラづくり”のうまさ | NEXT MEDIA “Japan In-Depth”[ジャパン・インデプス]

これからますます面白いストーリーや応援したいキャラが求められていくだろう。 コンテンツを発信する人や企業にとって、ストーリー作りはこれから必要なスキルであり、どんどんエスカレートしていくのかもしれない。

そうなんです。今回こういう騒ぎになりましたが、我々は結局ストーリーを消費していくのです。

最初に戻りましてJ-WAVEのクラウドファウンディング。部長さんは大切なことを言っています。「公開する企画は入念に審査しています」と。佐村河内氏を見抜けなかった私たち。個人的にはバレるところまでセットのエンターテインメントでいいんですが、クラウドファウンディングでお金集めちゃうと返金とか大変なことになりそうだし、ラジオが持つリスナーとの信頼感から生まれた新しいビジネスなので、なんとかこれを育てるために、J-WAVEさんには演出抜きで頑張っていただきたいのです!

感動ストーリーとか、作りたくなっちゃうんですけどね…。

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