4回目の「3.11」が過ぎて行きました。
あれから何度か東北に取材に入りましたが、今年は初めて、3月11日を現地で過ごすことにしました。
今回向かったのは岩手県宮古市。
あちこち回った震災取材で、一番ショックを受けた場所、宮古市田老地区にもう一度行きたかったのです。
「万里の長城」と呼ばれる長大な防潮堤が無残に破壊され、町が1つ消えた風景は想像を絶するものがありました。
深夜バスで10時間
東京から宮古市までは品川・浜松町から高速バスが出ています。深夜21時40分に乗って、翌朝7時30分着。
新幹線で盛岡経由で行ってもかなり時間のかかる場所なので、東京からだとコレが一番便利で安い。
途中雪での通行止めなどあって、1時間遅れで宮古市に到着。3.11の朝です。
レンタカーを借りて、まずは宮古市役所へ。4年前はここまで波に飲まれました。
泥だらけだったエントランスも完全修復。
ロビーの時計は止まったまま保存されています。
午後の追悼式の取材申請を済ませて、宮古市一の名勝地「浄土ヶ浜」へ。
津波でえぐられた山肌や岩肌は当然そのままですが、歩道などは綺麗に整備が終わっており、観光はバッチリ。
風光明媚。
ロータリークラブの記念碑がありました。
先人の教えは役立ったようです。
北に車を走らせ、スーパー防潮堤の町田老へ。道の駅は震災から100日取材時もやっていました。
流された田老駅も開通。
繋がってる線路を見ているだけでこみ上げてくるものがあります。
駅舎は波を浴びてサビサビ。
次回は電車で来よう。久慈まで行ってみたい。
そして防潮堤へ。
堤防が…片付いている!
瓦礫がなくなり、ただただ整地作業が続いています。
埋もれていた野球場も解体作業中。
波でエグられてます。
たろう観光ホテルはこのまま保存されるそうです。
何年たとうとも、この津波のパワーを忘れてはいけませんね。
それでも、人はここに堤防を作るんです。田老地区の方にお話を伺ったら「堤防があるから大丈夫だとずっと住んでいた。土地も買った。だから、堤防を直してもらわなきゃ、怖くて住めないんだよ」と言っていました。「こんなところに住まなきゃいい」と気軽に考えがちですが、土地に根ざして生きている地元の人達は、先祖代々の土地を簡単に手放せないんです。国が買い上げて居住禁止区域にでもしない限り。
次は田老地区の人たちの多くが避難生活を送っている、「グリーンピア三陸みやこ」へ。
ここには仮設商店街「たろちゃんハウス」があります。大きなプレハブです。
4年前にインタビューさせていただいた、津田時計店の津田さんもお元気そうでした。当時はまだプレハブもなくテントだったのを思い出します。
【特集:震災から100日(6)】テント商店街から元気を「仮設の町」誕生
田老地区は文字通り町ごと津波に飲まれてしまったので、仮設住宅には多くの方々が暮らしています。
路地を歩いていると、当たり前なんですがすごく「生活感」があって4年の歳月を感じました。
あれから4年。この日は小雪も舞っていました。プレハブの壁は薄いんです。
何年目の夏につけられた風鈴でしょうか。あといくつの夏を迎えるのでしょうか。
東京にいると、本当に忘れてしまいます。まだ22万9千人の方々が避難生活を余儀なくされていることを。
空き家が少し出始めていたのが変化を感じた唯一の部分でした。
ロビーにはこんな感謝の言葉が。
いつの間にか震災発生時刻が近づいてきましたので、追悼式へ向かいます。
14時46分。黙祷。
人口5万6千人の町で500人以上が亡くなり、まだ見つかっていない人もいるという現実。三陸鉄道も弔旗を掲げていました。
式典を終え、宮古港へ。ガレキの山だったのに、ほんとに綺麗になりました。
宮古港は11隻のトロール船が生き残ったため、震災間もないうちから水揚げを続けることが可能で、瓦礫の引き上げも魚網を使ってやることができました。出港準備をしている船も。
【特集:震災から100日(5)】震災1ヶ月で再開した宮古市魚市場~生き残った11隻のトロール船~
何より大切な製氷所も復活していました。
ざっと取材行程を書きなぐりましたが、追悼式や過去の取材写真と比較などしたちゃんとした記事はBLOGOSに書きますのでご覧いただければと思います。来週中には…頑張ります…。
宮古は魚が美味しいし、
お酒も美味しい。
「重たい課題を抱えながらも何とか動いている」―被災地の造り酒屋の現状―
スープがとんでもなく美味いラーメンもある。
浄土ヶ浜は綺麗だし、田老のかりんとうはパリパリだし、なんせ品川からバスで1本。今度の土日にどうですかお客さん。
こんな言い方をするのはどうかと思いますが、田老のスーパー堤防が完全に修復される前に、1度でいいから見に行ってほしい。こんなデカイ建造物が自然に負けるんだ。町ごと流されたんだ。津波ってこんなに怖いのか、ということを心底感じてほしいです。
もう少し息子が大きくなったら、連れて行きたいと思っています。
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