ニッポン放送のアナウンサー、吉田尚記さんの著書「なぜ、この人と話をすると楽になるのか」
10万部突破だそうです。すっげえ。
近頃ではラジオを聞く人もめっきり少なくなってしまったのですが、あの「マンガ大賞」を立ち上げた仕掛け人、と言えばなんとなくイメージが湧くでしょうか。わきませんか。そうですか。
アナウンサーなのにコミュ障
この本の帯には、
ニッポン放送の大人気アナは、些細な会話すらままならないコミュ障だった!そんな彼が20年かけて編み出した実践的な会話の技術を惜しみなく披露。話すことが苦手なすべたの人を救済する、コミュニケーションの極意!!
と書いてあります。
「アナウンサーなのにコミュ障」ここがこの本一番の売り。
吉田アナ曰く「世の中には太っている人と口下手が常にいる」ため、コミュニケーションの本とダイエットの本は本屋さんの店頭から無くならないとのこと。ナイスマーケティング。
吉田さんのように人と毎日話すアナウンサー、そのアナウンサーが会う前にゲストと打ち合わせをするディレクターや放送作家、記者にインタビュアー、そして人の目を見て話せず、1日中スカイプで意思疎通しているクソエンジニアの皆さんにオススメの1冊となっております。
部署の電話が鳴っているのに「電話苦手で」とか言って取らないダメ人間がいかに多いことか。いますぐ死んでくれ。
いやしかし、コミュ障だから人とコミュニケーションしないってイノベーションですよね。1日中チャット。業務指示からうわさ話まですべてチャット。IT業界にとらばーゆしたときには驚いた驚いた。あー気持ち悪い。
そんな特殊なIT業界以外にお勤めで、人と話さなければいけないアナタ、この本で大人になりましょう!
コミュ障は人に気を使う人
この本は全8回のニコニコ生放送をまとめたもので、基本編と技術編に分かれてます。いかに会話を楽しく続けるか、気まずい空気を作り出さないためのテクニックと心構えが満載です。
自分はコミュ障だわ…って人以外は、後半の技術編、105ページから読めば事足ります。正直ちょっと前半長くてダレる。前半で勉強になったのは、
「コミュニケーションに悩みを抱えている人というのは、基本的に人見知りで、自分がいることで相手に嫌な思いをさせたくないって気持ちが強いんです」の部分。
へー。そうなのか。コミュ障ってずっと中2病引きずってる「人嫌い」なんだと思ってた。ちょっと見方が変わりましたね。
基本編のダイジェスト
・相手に対する「先入観」は間違っていて良い
人は間違った情報を訂正する時に一番しゃべる生き物のため、相手に先入観を持つこと、間違った質問をすることはマイナスではない。
例えば、
「アウトドアとか好きなんじゃじゃないですか?」
「いやいや、そんなことはなくてー、休みの日は1日中ゲームとかしてるんですよ」
と、会話がつづく。たしかに。間違ったイメージ押し付けられたら、反論しますよね。今度使ってみよう。
イジられたらラッキーと思え
・イジられたらラッキーと思え
おたがいにわかっている範囲内で悪口があると、本音でしゃべっている共感が生まれる。
・話題の作り方
シンプル。相手に質問すればいい。
・相手のために質問する
相手に対して興味を持ち、興味を質問に変換する。
・感ずる心のハードルを思い切り下げる
「あっそうなんですか!」「えっ?」「本当ですか!」「どういうことですか?」とリアクション。
後で出てきますが、「イジられたらラッキーと思え」これ、難しいです。プライドを捨てて腹をくくる。これが出来ない意識高いコミュ障が周りに多い。とか言って、ボクもそうでしたけど若手ADの頃。「おら新人!面白いことやれ!」って言われて、「ビール瓶をアタマで割ります!お前のな!」とやる寸前だった忘年会。いやー。よく耐えた。
僕の場合はその後「自分が出来ないことを出演者にさせられるのか、芸人さんにそこで脱いで下さいって言えるのか」って先輩に説教されて、ようやく大きなステージでも臆せず前説できるようになりました。笑われてなんぼですね。
ようはキャバ嬢になれってことですよ。気持よくお客様に話をして帰ってもらうテク。そして技術編へ。
本のタイトルは115ページ目に出てくる
・相手の言い分に乗ってみる
コミュニケーション・ゲームでは、相手の言い分に乗ってみようと決められたらとても楽なんです。人は自分が淀みなく話しているときに楽しいと感じられる生き物なので、それをワクワクテカテカしながら聞ける姿勢をとれるか否か、そこにコミュニケーションの実りは懸かっています。
これ、すべての答えを言ってしまっているようなものなんです。なぜ、この人と話をすると楽になるのか。楽しく、心地よく、気まずさなんてどこ吹く風でうんうんって話を聞いてくれる人。自分のことに興味を持って、いろいろと訊いてくれる人。驚いたり笑ったり、話が転がってタイクツしない人。そういう人とコミュニケーションをとっていると人は確実に楽になれるんですね。
変なタイトルの本だなーって思いませんでしたか?
それこそ編集者の腕なんでしょうけれども、「吉田アナと話をすると楽になるってなんだよ(苦笑)」ってボクは思いました。こういう意味だったんですね。「君と話をすると楽だよ」という人になれ、なるためのマニュアル本だよと。
ここからは実践的なテクニック満載で役に立ちますよん。
・会話で優位に立とうとしない
ポイントは「ホメる・驚く・おもしろがる」。
ホメると自分が相手に受け入れられる。
→お客さんかっこいー!(キャバクラにて)
人に何かを伝えようと思ったら驚くといい。
→【驚愕】【衝撃】【マジか】…記事タイトル芸と同じですね。
よほどのことがない限り、はじめからわざとつまらない話をしようとする人なんていないと思う。
→相手のいいところを探しましょう。面白がれるポイントを見つけましょう
質問力を身につける
・日本で一番有名な質問 タモリの「髪切った?」
タモリさんの「髪切った?」がいかに「神の一手」なのかが解説されています。
- 前回と今回の変化を指摘する
- 他愛がない
- 切ってなくても返答のリカバリーができる→聞かれた側が「整髪料変えたからかな?」「いつもと違う髪留めにしてみたから」
- 自分に関心があるということがわかる
- 髪を切ったことは忘れない
なるほどねえ。人は考えなければ答えられない質問には二の足を踏んでしまうため、政治や宗教など2極化しやすい話題も避けろ、とのこと。ゲストトークとしてはそうですよね。
・具体的に訊くことを心懸ける
「最近どう?」は「自己PRをどうぞ」と同じムチャぶり。
「最近(体調)どう?寝られてる?」なら答えられる。
・相手が興味のあることを訊く
聞いていて自分がタイクツに感じないコツは、相手から教えてもらっていると思えばいい。人はだいたい教えるのが大好きなので、驚きをもって話を受け止めていれば楽しく話してくれる。
相手にいいパス(質問)を送ることができれば、コミュニケーションの問題はもうほとんど解決する。
→話下手でも聞き上手になればいい
生きていくためにピエロになれ!
・本書の最重要ワード「愚者戦略」
欠点から自分のキャラを戦略的につくるというのは、ひとことで言えば、そこをツッコまれてOKにすることです。相手に自分の欠点をツッコまれたとき、ヘコんだり心が折れたりするんじゃなくて、喜べなきゃいけない。コミュニケーション・ゲームをプレーするうえでは、弱点があったらラッキーなんです。
極端な話、ハゲチビデブの人、全部ラッキー。それをネタにされてOKの人になる。自分のコンプレックスをツッコまれててもウェルカムできる。そうして自分を低く設定しておくと話しかけられやすくなるんです。
はい、先ほど出てきました「イジられる」の本論です。ここが最重要ワードと著者が言うとります。
愚者キャラになり人と円滑にコミュニケーションを取ることを選ぶか、小さなプライドを守って生きていくか。これは難しい。
ボクは後者も悪くないと思います。なにも自分をネタにして、全員が愚者のふりをしなくてもいい。これが出来ないから、自分の殻に閉じこもって延々チャットだけで人とコミュニケーションする人たちが沢山いるんです。ここを乗り越えるのはなかなか至難の業だと思います。
吉田さんはアナウンサーで、話さなければ仕事にならなかった。ボクもディレクター、記者をやる上で、人と上手にコミュニケーションしてインタビューする必要があった。全国の営業マンの多くもそうでしょう。顧客と円滑にコミュニケーションが取れないと仕事になりませんよね。
職業上生きていくためにコミュニケーションが重要な人は、愚者戦略は非常に有効だと思います。ですが、人との関わりあいがあまりなくてもやっていける仕事をしている人は、いままで出てきた小手先のテクニックでなんとかやりすごしてもいいんじゃないかと。
いじられキャラって、しんどいじゃないですかw
当たり障りない、かつ答えやすい具体的な質問を振り、「へー!」「なんで!」「すごい!」ってリアクションしていればその場は乗りきれる。年に数回の飲み会や親戚の法事とかですね。
もちろん、その乗り切った自信の積み重ねが、コミュ障克服の一歩になることは間違いないでしょう。
コミュ障によるコミュ障のためのコミュニケーションテクニック集、面白かったです。
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