有楽町。僕が20代を過ごした街。
朝も昼も夜も、そして次の朝も、ここにあるラジオ局で働いていました。番組と番組の間が30分しかない時、深夜放送を終えて、どうしても温かいものが食べたい時。
駅前の24時間営業「後楽そば」だけは、馬車馬ADをいつも暖かく迎えてくれました。
そんな我が青春の「後楽そば」が、2016年5月27日(金)をもって営業を終了するというのです。
なんてこった…。たしかに店の横まで、耐震工事が迫っています。
ニッポン放送のサイトでこの情報を見かけて30分後、僕はいてもたってもいられず、気がつけば有楽町駅前に立っていました。
あのJR有楽町駅ガード下『後楽そば』が5/27(金)に閉店!!大変です!あなたも一度は食べたことありますよね!?ーしゃベル
ここの名物はなんといっても「やきそば」。いつ行っても鉄板の上には、甘酸っぱいソースの香りと、鉄のヘラが奏でる「カンカン!」という威勢のいい音が溢れています。
本当に後楽そばが閉店してしまうのか、信じられないまま店にたどり着きました。
久しぶりだ…。
焼きそば並盛り380円。稲荷セットが520円。安い。これぞ庶民の味方。
やきそばにはコロッケを乗せよう
やきそばを頼むときにはちょっとしたコツがあります。それはコロッケを乗せること。
70円プラスされて、450円。
このカウンター、朝方によく来たなあ…。
来ました!これが後楽のやきそば!なぜコロッケを乗せるのがコツかというと…。
コロッケを乗せると、やきそば単体ではついてこない、スープがついてくるのです。こんな裏技が使えるのもあと1週間か…。
やきそばを食べるとはいえ、ここは立ち食いそば屋。まずはネギをトッピング。
これが後楽のやきそばスタイル。ニッポン放送によく来る森永卓郎さんも「ネギをしこたまかけるんですよ」といつも話していました。
ああ!この味!目をつぶれば夜店の屋台!
生のネギとやきそばのマリアージュ。これぞ後楽。
さらに、七味を投下!
ああ、後楽だ、後楽の焼きそばだよ!
コロッケにはソースをかけて…。かぶりつけ!
スープことそばつゆを飲む。幸せすぎる。
俳優の浅野忠信さんもニッポン放送にゲストに来ると、必ず寄っていた後楽のやきそば。次から悲しむだろうな…。
やきそばを焼いていた店員さんに聞いてみました。
「本当に、今月でお店なくなってしまうのですか?」
すると静かに、そしてゆっくりと、深々と頷く店員さん。
ああそうか…悲しいのは僕らだけじゃないよね。店員さんのほうが何倍も切ないよね。でも次の瞬間には「いらっっっっしゃいませえええ!」と笑顔いっぱい。男の仕事を見ました。
ありがとう。ごちそうさま。
有楽町を離れて7年。街も人も変わります。でも心のどこかで「後楽のやきそば」はいつもそこで待っていてくれると思っていました。そんなはずはないのに。
久しぶりに食べたやきそばは、少ししょっぱい味がした。
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