「コーヒー無料です!ちょっと寄って行かれませんか?」
いつものように青山を散策していたら、若い店員が声をかけてきた。
(ははーん。絵でも売りつけるつもりだな…)
ボクの仕事はネット記者。ダマサれたらその一部始終を記事にしてPV大フィーバーだぜヒャッハー!とほくそ笑みながら、そっとICレコーダーの電源を入れ、店員の話を聞いてみることにした。
「え?オープン記念か何かですか?」
「いえ、コーヒーのお味の感想を、ツイッターかフェイスブックに投稿していただければ、それがお代というシステムなんです」
ほほう。ソーシャル拡散をお代にとな。これは大人が後ろで糸を引いてる臭いがする。姉さん事件です。
「へえー、おもしろいですね。ぜひぜひ」
見た目は普通のシャレオツカフェ。BGMはジャズピアノが流れている。
左右を店員に挟まれて、健康器具とか売りつけられるのだろうか。
まずは電波のチェック。いざとなったらここからスマホで詐欺の瞬間を生中継しなきゃいけないからな。
フリーWi-Fi確認。電源も用意されている。良心的だがまだ気をゆるめていはいけない。
「お待たせしました。お菓子もどうぞ」
コーヒーにチョコまで出てきた。ますます無料があやしい。ごくごくごく。もぐもぐもぐ。ウマイじゃないか。
後ろのソファーには女性もいるが、サクラの可能性も考慮しなくては。
長テーブルにはカフェドヤPCの先客がいた。被害者インタビューも録れそうだ。
なになに、ハッシュタグをつけてツイートしてください。それでコーヒー無料です。・・・ほんとなのか?
読み込んでいるとイケメン店員登場。「お客様、少しご説明させて頂いてもいいですか?」
きた。スクープの瞬間だ。さあ、絵を売りつけるのか、ゴルフの会員権か、ア◯ウェイか?
「ツイッターか、フェイスブックはやっていらっしゃいますか?」
「両方やっていますが…」
「では、申し訳ありませんが、ツイッターでお願いしてもいいでしょうか?」
たしかに、ツイッターのほうが拡散するわな。じゃあ、適当に打ってと…
「NGワードがございまして、恐縮ですが送信前に見せてもらっていいですか?」
しまった。記者だとバレたか。奥から怖い人でてきてもアレなんでおとなしく見せよう。
「大変すみません。(ピーーーーー)のワードだけ、お店に来た人へのサプライズなんで、(ピーーー)してもらっていいでしょうか…?」
なるほど、たしかにちょっとしたサプライズが用意されていた。それを教えては趣がないというものだ。
「では、こんな感じで」
ふらっと青山でカフェに入ったら、コーヒー無料でワロタ。ハッシュタグがコーヒー代らしい。新しい企画みたいだけど代理店どこだろ。#ヨーロピアン驚きの体験 http://t.co/RTKc8HdiLs
「バッチリです、ありがとうございます」
店員さんを問い詰めたら、電通仕切りの企画だそうな。
なんだ。いいキャンペーンじゃないか。
5月18日までの期間限定オープンで、何回来てもいいという。これは渋谷界隈のノマドには朗報。
ソーシャルをやってない人はコースターの裏に感想を書けばいいんだってさ。
そして、ホントに1円も払わず店を出ると、今度は美人の店員が寄ってきた。しまった油断した!最後に勧誘来たか!
「こちら、おみやげです(ハート)」
なんと、タダの上に手ぶらでは返さないというのか!心の汚い大人でごめんちゃい!
ということで、今度集団で行って記事書きましょう。表参道から5分、国連大学の裏あたりです。
◇「コーヒーハウス ヨーロピアン」
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東京都渋谷区神宮前5-46-13
営業時間)11:00~18:30(~5月18日まで)